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Sさんのメッセージ~最期まで全力で生き抜く~

Sさん・70歳代男性。左頬粘膜癌末期のお客様の訪問に週1回、伺っていました。訪問に行く度、スポーツの話や仕事を頑張っていた頃のことを楽しそうに教えてくださりました。疾患上、開口が出来ず、上歯・下歯のごくわずかな隙間から飲水や汁物・内服薬を摂取されていました。左頬の疼痛も日々増悪し、徐々に辛い日々が多くなってきました。

 

Sさんは、妹様と二人暮らしで、妹様の献身的な介護で最期まで自宅で過ごせたと思います。まだ、自力歩行で移動でき、セルフケアも出来ていた頃によくSさんが話されていたことがあります。「何とか年越せて、このままの調子でいけたらと考えています。体重が減ってしまったので最近、自宅内廊下を歩いて筋力をつけています。頑張りたいと思います。ここ数ヶ月、特に大きな変化を感じないまま過ごしてきたけど、最近、咳も多く痰も沢山出てきて、息苦しく感じる日も増えてきた。悪くなってきたのでしょうか。」と期待と不安が入り混じっている発言が徐々に増えてきました。Sさん自身は1日でも長く自宅で過ごすことを目標にしておられ、出来ることは可能な限り自分でやることを徹底されていました。「生きること」を目標にしていたSさんは、身体の少しの変化に怯え、一喜一憂する姿が度々みられていました。私たちはSさんの思いに寄り添い、今より少しでも疼痛緩和ができる方法や日常生活の過ごし方など随時、お伝えしました。少しずつ自分の身体の変化を受け入れつつ、「諦めない」とSさんは話されていました。

 

生きる希望を持ち続け、自宅で生活してきたSさんですが年末から食事が十分摂取できなくなり、弱っている自分にかなり落ち込み、精神的ダメージをかなり受けている状態でした。点滴も連日行うようになり、臥床状態が続き自力歩行もできない中、どうしてもトイレに行きたいと訴えがありました。車椅子に乗車し、トイレで排泄できるよう援助を行うとSさんは「やっとトイレで尿ができました。本当に良かった。」と話されました。Sさんがトイレで排泄したいと思うのは人として当然で、残りわずかな時間をSさんの希望を可能な限り実現させてあげたいと考えました。

 

今年に入り、経口から内服薬服用ができなくなり更に痛み増強がみられたため、PCAポンプで疼痛管理が開始されました。最初は効果を感じられたようでしたが、何度ボーラスしても疼痛緩和には繋がらず、せん妄がみられ始めました。意識朦朧とした状態でベッド上から降りようとする姿がみられたり、自力歩行できない状況にも関わらず、トイレに行くといってきかないため困っていると何度も妹様より連絡がありました。亡くなる前日までSさんは、ベッド上で尿器を持ち自分で排泄を行っていました。亡くなる12時間前にはメモに「全てどうでも良くなった。疲れた。とにかくゆっくり眠りたい。」と記載されました。連日訪問に伺っていたので、Sさんの思いや身体の変化は十分に理解していました。妹様も疲弊し、夜間、兄の不穏行動に目を離せないため寝れず、困り果てて涙する姿がありました。亡くなる前日から、セデーション開始となりました。点滴開始前にSさんが私と二人きりの時に話された言葉があります。「この世の中に生を受けた以上、命を全うする。全力で生き抜いた。皆さまには迷惑かけて申し訳ない。妹のことまで気にかけてもらい感謝しています。」これがSさんと私の最後の会話でした。意識朦朧としつつ、清明な時間も多くありました。

 

Sさんは死への恐怖と毎日戦い続け、最期まで生き抜いたと思います。Sさんの訪問を通して、本人・家族支援の難しさや大切さを学びました。人それぞれ、価値観があります。私は相手の価値観を重視し、自分の人生の選択を自由に選んでいただき、選択した道に沿って最大限理解し、寄り添える看護師で在りたいと思います。

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