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本人・家族を信じること

令和6年8月から訪問させていただいていたIさん。原発不明癌による左頸部リンパ節転移があり、左頸部表皮癌は日々拡大し、時には出血もみられ本人・家族が混乱する場面もありました。

 

訪問当初は、セルフケア自立で食事も摂取できており左頸部表皮癌による痛みの訴えがメインでした。創部処置も毎日奥様が行い、感染兆候なく過ごされていました。ペインコントロールも本人が内服薬を随時飲み、日常生活が自宅で送れるよう調整されていました。

 

訪問時、本人より「病院は嫌い。今はこうして家で過ごせてるからね。こんな首に癌が出来ている人なんて珍しいでしょ?痛い時は早めに痛み止め飲むようにしているよ。」と話されていました。約4~5ヶ月は病状に大きな変化なく経過していましたが、令和6年12月に入り一気にセルフケア能力低下がみられ、本人にとって辛過ぎる日々となってきたようです。

 

早朝、奥様より「お父さんがね、看護師さんに話をしたいと言ってるのよ。辛いみたいで。」と連絡がありました。訪問すると、本人より「ご飯も食べたくないし薬も飲みたくない。ご飯を食べないと一週間ぐらいで死ねるかな?」と話し始めました。看護師から「Iさん、十分頑張っておられますよ。辛いですよね。薬も飲めなければ飲まなくていいし、ご飯も無理して食べず、食べたい時に食べたい量食べてくださいね。」とお伝えしました。再び看護師から「私はIさんに会えることを楽しみにしています。いつも気になっています。今日も会えて嬉しいです。来週もお会いできると嬉しいです。一緒に考えながら進んでいきましょう。」と手を握りながら伝えると、Iさんも奥様も涙を流しながら頷いていました。本当は「死にたくない。生きたい。」が答えだと思います。Iさんの思いを読み取り、一通り話を聞き終わると「看護師さんと色々約束したから、頑張ってご飯も食べるよ。」と返答がありました。

 

お正月は自宅で過ごせ、家族と静かに穏やかに過ごせたようです。しかし、表皮癌浸潤もあり1月上旬には発語が出来なくなりました。自力歩行や移動もできなくなり、目に見えて死が近づいている状況でした。私たちから日常生活援助や創部処置のお手伝いを提案し、訪問回数を増やすことを話しましたが奥様より「自分が出来るので大丈夫です。お父さんは私以外に世話をしてもらうこと嫌うのよ。そう長くないし最後まで見てあげたい。」と話がありました。長年連れ添った奥様の決心は強く、本当に困った時に連絡くださいと話しました。私は、本人・家族を信じ、本当に困った時には連絡くれるだろうとそれ以降、提案をやめました。訪問の際、少しでも本人・家族が安楽に過ごせるようにと様々な案を提案しますが、時としてそれは相手にとっては必要性を感じてなかったり、お節介になることもあります。「本当に求めていることは何か?」を常に考えることが私たち訪問看護師の役割の一つでもあると思います。家族の介護力も見極めることも重要であり、どのようなケースでも、看護師として柔軟に対応できる能力を問われていると私自身振り返っています。

 

Iさんは令和7年1月末にご逝去されました。緊急コールが鳴り訪問した時、娘様より「最期、目を開け微笑んでくれた。私を待っていたんだと思う。」と涙しながら話されました。Iさんも最期まで力の限り生きられ、家族も最期までとことん介護されたと思います。最大限、労いの言葉をかけ、落ち着かれた段階でエンゼルケアを家族と共に行いました。奥様が選んだ洋服は、生前、Iさんがオーダーメードしたダブルのスーツでした。エンゼルケアを行いながら、家族からIさんとの思い出話を沢山聞かせていただきました。Iさんは元大工で娘様が小さい頃竹馬を作ってくれたり、まな板を作り娘様にプレゼントしているようです。娘様はそのまな板を今も使っており、形見になると話されていました。

 

エンゼルケアをさせていただく時、いつも思うことがあります。息を引き取ったけれど、懐かしい昔話をしながら思い出を語ることで少しずつ大切な家族の死を受容していくんだなと。人の最期を自宅で家族と看取れることは訪問看護師として幸せです。家庭により色々な歴史があり、その歴史をすぐ側で聞かせていただき、私自身の人生にも刻まれていきます。どのような場面も全力で関わり、本人から「貴方が来てくれるなら最期家で亡くなりたい。」家族からは「最期、家で看取れて良かった。」と思っていただけるような看護を提供していきたいです。

 

 

 

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